山村退屈通信

　私は買い物依存症の気があって、とにかく無駄にお金を遣うのが大好きなんである。お金が大好きなのに、お金は私の自由にならないからかもしれない。これはお金に対する復讐か。


　イヤだ、ヘテロの男なのに、女性が好意を寄せてくれないからって女をモノ扱いするミソジニストみたい。


　しかし、私ももういい歳だ。明日をも知れぬ暴走をする気力は最早無い。それに、無駄にお金を遣うより、自分をちゃんと、養うことの方にお金を遣いたくなって来た。


　にもかかわらず、だ。○ニクロなどにしばしば通っては、「んまあ、このリネンシャツ1900円？買いよ！」とかやってしまっちゃうのだ。


　もともと私は身の丈に合わない高級品志向で、カード利用枠の限度ギリギリまでカシミヤだの蛇革だのに金をつっこんできた。

　

　「日本に８個しかないとか言われた（本当なんだかね）○ッチのバッグとか、勢いで買っちゃったの！素材が立派すぎて重くてもう持てない！ババアだからさ！」なんて自分の買い物暴走癖のことなんか、同僚に自虐ギャグとしてお話したりしていたの。「あたくしが世界一嫌いな言葉はね、『安物買いの銭失い』よ！」なんて叫んだりしてさ。アタシ今、時給単価いくらの仕事してるのにね。


　それでね、ある時にね、「○ニクロに行くと、あれもこれも、色違いでガーって揃えたくなっちゃう！だって安いもの」ってその同僚に言ったら、「ヴェロニカさん、世界一嫌いな言葉は、『安物買いの銭失い』だって言ってませんでしたか？」って、混ぜっ返されちゃった。あはは。


　すーごくいい話じゃない？


　これ以降、私、買い物が暴走しそうになると、彼女の言葉を思い出すのよ。それで、「そうだった、安物をたくさん買うより、お金を貯めて、私にはしたいことがあるんだった」って思い出すのね。

　

　まあそれでも買っちゃうんだけどさ。それでも、以前よりは歯止めが利くようになったの。


　

　いいお友達がいてくれて、良かったなー、って、今回はそういうお話。